世界の痩せすぎモデル規制の経緯と日本

 1. 痩せすぎファッションモデルの問題の背景とBMI
 
   あなたの身の回りの女性で、「痩せたい」と口癖のように話し、ダイエットの話題ばかりする人はいませんか?
 あなた自身はどうでしょう、自分の体型や体重に満足しているでしょうか?
 実は、若い女性が、正常体重であるにも関わらずダイエットすることが、摂食障害の発症危険因子であることは明らかで、それ以外にもさまざまの問題が指摘されています。それにもかかわらず、女性は、自分が太りすぎで、痩せないといけない、ダイエットしないといけないという圧力を感じているのが、現在の日本の実情だと思います。どうして私たちは健康な体重を素直に受け入れられないでしょうか?
 その理由の一つは、痩せを礼賛する価値観が私たちを取り巻いているからです。女性向けの雑誌にはいつもダイエットの特集が載り、テレビやファッション雑誌は、美しさの象徴として痩せた女性を起用し、ふくよかな女性に対しては「太っている」として醜いというレッテルを貼り、からかいの視線を向けます。
 このようなメディアの状況は、若い女性に「痩せて理想の体型になれば、ハッパーな人生を送れる」といった幻想を与えます。そして、健康な体重の若い女性に過度のダイエット行動を起こさせ、その結果、摂食障害発症リスクが上昇します。
 このような価値観を強く後押しするのが、メディアに露出するファッションモデルです。彼女らに求められる痩せはどんどん加速してきました。 2000年代の欧米各国の女性の平均BMIは、フランスでは23.9、イギリスでは26.9、アメリカでは27.3、イスラエルでは26.7でしたが、1997年に報告されたファッションモデル300人の平均BMIは、17.6でした(lancet 1997)。ニュヨークタイムズは、有名なファッションモデルであるケイト・モスのBMIは15~16であると報道しました。ファッションモデルの体重は、明らかに平均的な女性の体重よりも少なく、WHO(世界保健機構)の示す健康体重はBMI18.5~24.9ですので、痩せすぎで低栄養の危険がある体重であることがわかります。